ブロックチェーン技術はその「データの改変に強い」という特徴から暗号資産(仮想通貨)のサービスから普及してきました。
ブロックチェーン技術も AWS や GCP、Azure といったパブリッククラウド、Oracle Database の Blockchain table などの商用サービスも提供され始め、「誰でも」「すぐに」利用できる技術になりつつあります。
本記事では「LINE Blockchain Deveropers」という LINE が独自に提供するブロックチェーンプラットフォームの特徴、LINE の戦略、利用価値を解説します。
LINE Blockchainとは
「LINE Blockchain」は LINE が独自開発したブロックチェーンです。
開発者は「LINE Blockchain Developers」というブロックチェーンプラットフォームを利用することで「LINE Blockchain」を基盤としたブロックチェーンサービスを提供できるようになります。
すでにゲーム業界を始めとして LINE Blockchain を導入したサービスが展開されています。
- 導入事例
- ゲーム
- モバイルRPGゲーム「ナイトストーリー」:2020/09/30 リリース プレイヤーはナイトとして、ペットと共にバトルをしながら素材を収集し、素材を組み合わせて装備アイテムを作成し強化していきます。木材、鋼などの70種類以上の素材を組み合わせると、剣、弓、鎧など200種類以上のアイテムに変換できる。ゲーム内アイテムは全てNFT(ノンファンジブルトークン)アイテムになるため、プレイヤーはアイテムの保有権を持ち、交換したり売ったりすることができる。
- MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」:2020/10 リリース 王国を建国し、連盟や戦争を通じで領土を広げ、大陸の覇権を争うゲームです。プレイヤーは、ゲーム内で保有する資産をブロックチェーンアイテムトークンに転換することにより完全に保有し、取引することができる。
- 電子契約
- 電子契約サービス「リンクサイン(linksign)」:2020/09/30 リリース AI・ブロックチェーンベースの電子契約サービス。契約書の作成から署名、締結まで全てのプロセスを提供。ブロックチェーン技術が契約文章の偽造・変造を防止するため、安心して利用できることが特徴。
- ソーシャルメディア
- ソーシャルメディア「aFan」:2020/10 リリース ブロックチェーンベースのクリエイターとファンを繋ぐ新しいタイプのソーシャルメディア。ファンとクリエイターは、トークン「ファンコ」を通じて、従来の「いいね」やコメント以上の相互交流が可能となる。
- ゲーム
■LINE株式会社の概要
(1) 名称:LINE 株式会社
(2) 所在地:東京都新宿区新宿四丁目1番6号 JR新宿ミライナタワー23階
(3) 代表者:代表取締役社長 CEO 出澤 剛
(4) 事業内容:コミュニケーションアプリ「LINE」および LINEプラットフォーム上で展開するコンテンツ・サービス、その他ウェブサービス事業、AI 事業の提供、運営
(5) 資本金:97,032百万円(2020年3月末時点)
(6) 設立年月日:2000年9月4日
■LINE TECH PLUS PTE. LTD. の概要
(1) 名称:LINE TECH PLUS PTE. LTD.
(2) 所在地:10 ANSON ROAD#23-14L INTERNATIONAL PLAZA SINGAPORE(079903)
(3) 代表者:代表取締役 イ・ヒウ/Lee HeeWoo
(4) 事業内容:暗号資産「FNSA」の発行
(5) 設立年月日:2018年4月11日
LINE Blockchain Developers|外部へ公開しているブロックチェーンサービス開発プラットフォーム
LINE は 2018年4月に「LINE Blockchain Lab」を設立し、ブロックチェーン技術を応用した dApp の開発やP2Pネットワークによる分散システムや暗号化技術の研究を行っています。
ブロックチェーンを企業が構築し運用するとなると専門技術者の雇用問題やコストなどが障壁となり、実用化が難しいのが現状です。
LINE が開発、運用している LINE Blockchain の技術を外部企業が利用できるサービスとして公開しているのがブロックチェーンサービス構築の開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」です。
企業が展開している既存のサービスにブロックチェーン技術を導入することができ、独自のトークンエコノミーを構築することも可能。
LINE の開発者向けポータルサイトである「LINE Developers」の中に web ベースの開発者用コンソールがあり、その中でセキュアな開発ができます。
- 「LINE Blockchain Developers」の主な機能
- 独自トークンエコノミーの構築 「LINE Blockchain Developers」コンソールを利用し、独自のトークンエコノミーを簡単に構築できます。 実際にサービスインする前に、テストネットでトークンを発行してテストすることも可能です。
- さまざまな物や権利をトークン化して管理 有形無形を問わず、さまざまな物や権利をトークン化し、ブロックチェーンサービスで管理できるようになります。
- ブロックチェーン資産を安全に保護 プライベートキーを使用することで、ブロックチェーン資産を各サービスで安全に管理できます。
- ブロックチェーンの簡単実装 スマートコントラクトの専門知識がなくても、各サービスをブロックチェーンと簡単に連携させることができるRESTful APIを提供します。
- ブロックチェーンネットワークを簡単に管理 「LINE Blockchain Developers」で構築したネットワークは、各ノードを個別に管理する必要はありません。オープンAPIを利用して、ネットワーク全体を簡単に管理することが可能です。
- LINEとの連携 「LINE Blockchain Developers」で構築した各サービス内で発行されるトークンを、LINE IDと紐づく「LINE BITMAX Wallet」で管理・連携させることで、LINEのユーザー基盤を活かしたサービスの構築や一部導入も可能となります。
キャラクターやアイテムおよび通貨などゲーム内資産のトークン化ができます。「LINE Blockchain Developers」で開発したサービス内のトークンやアイテムのトランザクションは、「LINE Blockchain Explorer」で確認できます。
LINE Blockchain Lab のミッション
ブロックチェーン基盤技術およびその応用サービスの研究・開発を行う専門組織として「LINE Blockchain Lab」が設立されました。
公開されたブロックチェーン技術を応用したdAppの開発や、P2Pネットワークによる分散システムや暗号化技術の研究を行い、独自ブロックチェーンプラットフォーム「LINE Blockchain」の開発、ならびに外部企業向けブロックチェーンプラットフォームである「LINE Blockchain Developers」の開発を行っています。
LINE Blockchain Token|LINE のトークンエコノミーを解説
ブロックチェーンのトークンとは?
暗号資産(仮想通貨)における「トークン(Token)」は既存のブロックチェーン技術を利用して発行された暗号資産(仮想通貨)のことを指します。
LINE は暗号資産(仮想通貨)として「フィナンシア(FNSA)」を独自のブロックチェーン基盤である「LINE Blockchain」で発行しています。有名所では「ビットコイン(BTC)」「イーサリアム(ETH)」があるます。
暗号資産(仮想通貨)は通常そのブロックチェーンデータベース(分散型台帳)と 1 対 1 で紐付いています。
「トークン」は 1 つの既存ブロックチェーンに対して追加で新しく作られる暗号資産(仮想通貨)のことを指します。
LINE Blockchain での独自トークン発行でなにができるか。
LINE Blockchain Docs の中にサンプルサービスとして「LINE シネマ」というサービスを LINE Blockchain Developers ならびに、LINE BITMAX Wallet を使って開発するチュートリアルがあります。
「LINE シネマ」のサービス開発者は、サービスの中で使われる「会員ポイント」「映画鑑賞券」「割引クーポン」をトークンの発行・管理での実装ができます。
このように、トークンは開発するサービスの中で利用可能な「電子マネー」や「ポイント」として活用できます。
LINE トークンエコノミー構想が目指す姿
LINE Blockchain Developers 上で開発されたアプリ(dApps:分散型アプリ)が独自通貨としてトークンを発行、管理が可能になります。
それらのトークンは FNSA(LINE の暗号資産(仮想通貨)) と紐付くため、8,400 万人 が利用する LINE アプリから多くの dApps が利用され、その中で FNSA が使われるようにしていく。
そうすると、LINE が発行する暗号資産(仮想通貨) FNSA がユーザが消費する貨幣の代わりとなり、FNSA の中で経済が周り始めます。そこに LINE の金融商品や宅配サービスなどとの相互送客していく。そういう経済圏を目指しています。
参考)